【差別の正体を考える・その7】AさんはBさんにバカと言うと、Bさんは何も感じませんでした。

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質問

AさんはBさんにバカと言うと、Bさんは何も感じませんでした。
しかしそれを見ていたCさんがそれは差別だと言いました。
Bさんはそれに対しても何も感じませんでした。
これは差別論的に差別になりますか?


解答

この問いは、差別をどう定義し、誰の感じ方・視点を基準にするかという非常に重要な問題を突いています。
差別論的には、以下の視点から整理できます。


◆ 1. 差別の定義

一般に「差別」とは、個人や集団に対して不当な扱いをすることです。
これは、言動や制度、慣習などが「不平等・不公正」に作用することを含みます。


◆ 2. 差別の成立における三つの視点

① 発言者の意図(Aさんの意図)

* Aさんが「Bさんを傷つけてやろう」「Bさんを劣った存在と見なしている」といった差別的な意図で発言した場合、意図的差別になります。
* 一方、冗談や親しみを込めて言った場合、意図としては差別的でない可能性があります。


② 受け手の感受性(Bさんの反応)

* Bさんがまったく気にしていない場合、「差別されたと感じていない」ことになります。
* ただし、主観的に傷ついていないからといって、差別でないとは限りません。


③ 第三者の視点(Cさんの認識)

* Cさんが「その発言は社会的に見て不適切で差別的だ」と感じた場合、客観的に差別性があると考える視点が生まれます。
* 特にCさんが当該属性に近い立場(例えば、知的障害を持つ家族がいるなど)の場合、より敏感な反応になる可能性も。


◆ 3. 差別論的な考え方

* 現代の差別論では、差別は当人の感情だけでなく、社会的構造や背景、文脈、言葉の使い方、権力関係までを含めて判断します。
* このため、**「Bさんが気にしていないから差別ではない」**とは限らず、社会的にその言葉がマイノリティや特定の人々を貶める構造の一部となっている場合、差別と認定されることがあります。

* 特に 「侮蔑語の常用」や「特定の集団に対する悪いステレオタイプの再生産」 は、個々人が気にしていなくても差別的と見なされる可能性が高いです。


◆ 4. このケースの解釈(まとめ)

* Aさんの意図が差別的でなければ、道徳的非難は減るが、「社会的差別性」は残る可能性がある。
* Bさんが気にしていなくても、Cさんが「これは社会的に問題だ」と判断すれば、差別として議論されうる。
* 差別の有無は、個人の主観・意図・社会的文脈すべてを総合して判断される。


◆ 補足:このような状況で重要なこと

* 差別かどうかは「誰がどう感じたか」だけでなく、「社会的にどう扱われている言葉や構造か」が重要
* 全員が「気にしない」場合でも、それが「差別が存在しない」証明にはならない
* 「感受性が強すぎる」「気にしすぎだ」という反論は、構造的差別を見落とす危険がある 







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