【時間論・その1】アウグスティヌスの時間論について

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質問

アウグスティヌスの時間論について解説してください。


解答

アウグスティヌスの時間論は、西洋哲学における時間に関する最初期かつ深遠な考察の一つです。
彼の時間論は主に『告白(Confessiones)』第11巻に記されています。

以下に、その内容をわかりやすく整理して解説します。


■ アウグスティヌスの時間論:概要

● 有名な問い

> 「時間とは何か? 誰もが知っている。
だが、それを説明しようとするとわからなくなる。
」 この言葉からもわかるように、アウグスティヌスは時間を直感的には理解しているが、論理的に定義しようとすると困難が生じると述べています。


■ 時間の三区分:過去・現在・未来の再定義

アウグスティヌスは、「過去・現在・未来」という時間の三つの区分は、本当の意味では存在していないと考えます。


● 過去は「もはや存在しない」

* 過去はすでに過ぎ去ったものであり、現実には存在しない。
* ただし、記憶の中に「過去」はある。


● 未来は「まだ存在しない」

* 未来はこれから来るもので、今この瞬間には存在しない。
* ただし、期待・予測の中に「未来」はある。


● 現在も「瞬間的に過ぎ去る」

* 現在は常に過ぎ去っていき、完全な静止状態として捉えることができない。
* しかし、「**現在の過去(記憶)」「現在の現在(直観)」「現在の未来(予測)」**という三つの形で心の中に存在している。

このように、時間は心の働きによって意味づけられているとします。


■ 時間とは「魂(心)の中のもの」

アウグスティヌスは、「時間は魂の中にある(tempus est distentio animi)」と述べます。
* distentio animi(魂の拡がり、引き伸ばし):  心が過去・現在・未来へと引き伸ばされる働きそのものが「時間」である。

つまり、彼にとって時間とは「外界に実在するもの」ではなく、人間の意識・心に属する主観的現象なのです。


■ 神と時間の関係

アウグスティヌスは神学者として、「神は永遠であり、時間の中には存在しない」と主張します。

* 神にとっては「過去・現在・未来」はなく、**永遠なる現在(aeternum nunc)**である。
* 時間は被造物(創造されたもの)のために存在し、世界が創造されたときに時間も始まったと考える。


■ アウグスティヌスの時間論の意義

1. 主観的時間論の先駆け  → 後のベルクソンやフッサールなどの主観的時間論に影響。
2. 神学と哲学の融合  → 哲学的思索を通じて神の永遠性と人間の有限性を明確に対比。
3. 心理的時間の提起  → 現代心理学や意識研究にもつながる視点を先取りしている。








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